VLBIクロニクル――電波望遠鏡たちが結ばれた日から、ブラックホールの謎まで

離れた場所にある電波望遠鏡どうしを結び、その距離そのものを「望遠鏡の口径」に変えてしまう技術がある。超長基線電波干渉計、VLBI(Very Long Baseline Interferometry)だ。

このシリーズは、日本の電波天文学者・三好真が発表してきた論文を1本ずつ読みながら、VLBIという技術が1990年代初頭の恒星観測から、銀河中心の巨大質量天体の探査へと向かっていく歩みをたどる。理論の解説記事ではなく、実際に発表された論文が「何を確かめ、何をまだ確かめていないか」を一本ずつ確認していく読み物である。

読む順番

  1. 巨星のまばたきを聴く――197kmの電波干渉計が見た、ミュー・ケフェイの素顔(1992年)
  2. 2300万光年先で、あり得ない速さのガスが見つかった(1993年・近日公開)
  3. 星の大気で電波を増幅する仕組みを解く(1994年・近日公開)
  4. 測地VLBIのための電波源サーベイ(1994年・近日公開)
  5. 銀河の中心に、見えない重い何かがある(1995年・近日公開)
  6. 中心から4000シュワルツシルト半径――極小のジェットを見つける(1997年・近日公開)
  7. 連続波で見るNGC 4258(1998年・近日公開)
  8. 天の川銀河の中心に、事象の地平面は見えるか(2007年・近日公開)
  9. 揺れる円盤――Sgr A*近傍の準周期振動(2011年・近日公開)
  10. M87ジェットとEHT――公開データをめぐる、もう一つの読み方(2022年・近日公開)

読み方の目印

  • **論文ごとに、主張の強さが違う。**確立した観測事実として書かれていることと、その論文自身がまだ「可能性」として提案していることを、このシリーズでは区別する。
  • **技術のつながりと、結論のつながりは別物。**同じ著者が同じVLBI技術を使い続けていても、ある論文の結果が次の論文の結論を予言していたわけではない。
  • **後半の回(特に10話目)は、公開されているデータの読み方そのものが研究者の間で議論になっている領域を扱う。**このシリーズでは、どちらか一方の立場を結論として書かず、何が確立していて何が係争中なのかを明記する。