塔の下の王子 — The Prince Beneath the Tower

プレイリスト:ラプンツェル歌劇
幕:第二幕

歌詞

[STRANGE MYSTERIOUS DARK FAIRYTALE] [INTRO — DISTANT HORN / WIND / BROKEN MUSIC BOX] 森は眠らない
夜も眠らない
月だけが 白い指を伸ばし
帰れなくなった男の影を 古い森へと誘っていた

[VERSE 1 — LOW MALE VOICE] 王子と呼ばれた あの日から
私は何かを 失くしていた
城には灯り 宴には歌
けれど誰一人 私を知らない
黄金の椅子も 父の王冠も
触れるたびに 冷たくて
ある夜ひとりで 馬を降り
名前も告げずに 森へ入った

[INSTRUMENTAL — CELLO / DISTANT METALLIC BELLS]

[VERSE 2] どれほど歩いた ことだろう
帰りの道さえ 消えたころ
森の奥から 歌がした
人の声とも 鳥の声とも
夢ともつかない 美しい歌

[VERY DISTANT FEMALE VOICE] 誰か……
誰か……
私を知っていますか……

[MALE VOICE — WHISPER] 誰だ……

[VERSE 3 — SLOWLY BUILDING] 声を追いかけ 森を抜けると
月より高い 塔があった
扉もない 階段もない
ただひとつだけ 窓がある
その窓辺には 金色の影
長い髪の 少女がひとり
私はなぜか 泣いていた
会ったことなど ないはずなのに
ずっと昔から 探していたような
そんな悲しみを 覚えていた

[CHORUS — MALE + DISTANT FEMALE CHOIR] あなたは誰 私は誰
なぜこの夜に 出会ったの
塔の上 塔の下
触れることさえ できないのに
あなたの声を 聞いただけで
忘れていた傷が 疼き出す
これは恋なのか
それとも……
この森が見せている 夢なのか

[INTERLUDE — WHISPERING TREES / REVERSED CHOIR]

[VERSE 4 — MALE VOICE] それから私は 毎夜来た
月が欠けても 雨が降っても
塔の下から 彼女の歌を聞いた
彼女は知らない 私の名前
私も知らない 彼女の過去
それでも二人は 夜になるたび
見えない何かを 待っていた

[FEMALE VOICE — FROM ABOVE] あなたはなぜ ここへ来るの?

[MALE VOICE] 分からない……

[FEMALE VOICE] 私を助けたいの?

[LONG SILENCE]

[MALE VOICE — VERY QUIET] ……分からない
ただ……
君の歌が聞こえない夜が 怖いんだ

[DARK ORCHESTRAL SWELL]

[VERSE 5 — WITCH APPEARS] そのとき森で 枝が折れた
風もないのに 葉が揺れた
黒い衣が 月を横切り
老婆の声が 闇から響く

[WITCH — LOW FEMALE WHISPER] かわいそうな王子様……
お前も 聞いてしまったのだね……

[MALE VOICE] 誰だ!

[WITCH] あの子の歌を……

[PAUSE]

[WITCH] あの塔はね……
人を閉じ込めるために あるのではないよ……

[MALE VOICE] ……何?

[WITCH — ALMOST LAUGHING] 外へ出してはならないものを 閉じ込めているのさ……

[MUSIC STOPS]

[VERSE 6 — FRAGILE FEMALE VOICE] 塔の上で ラプンツェルは
何も知らずに 星を見ていた
金色の髪が 風に揺れ
一本の糸が 塔から落ちた
王子はそっと それを拾った
温かかった
まるでそれが 生きているように

[CHOIR — WHISPERING] 登ってはいけない……
登ってはいけない……
登ってはいけない……

[FINAL CHORUS — MALE LEAD / FEMALE COUNTERMELODY] ラプンツェル
ラプンツェル
君の髪を 垂らしておくれ
この世界が 嘘だとしても
君のところへ 行きたいんだ
ラプンツェル
ラプンツェル
私は王子では なくてもいい
王冠も 名前も 明日もいらない
ただ一度だけ
君のいる窓から 世界を見たい

[FEMALE VOICE — TREMBLING] でも……
もし魔女の言葉が 本当だったら?
もし私が……
塔に囚われているのでは なかったら……?

[LONG SILENCE]

[MALE VOICE] それでも……
髪を垂らしておくれ

[OUTRO — VERY SLOW] 金色の髪が 夜の底へ
するすると 降りてゆく
王子は それを握った
その瞬間――
塔の中から
少女ではない 何かの声がした

[UNKNOWN WHISPER] ……やっと来た……

[ONE LOW BELL] [END]